浜岡原発に関し、中部電力に直接質問した内容をまとめ、報告します。

先日、Real-Japanの論考でまとめたとおり、電力関係の番組やCMに出演してきた責任として、原子力発電所の安全性について、調査及びヒアリングを続けています。

福島第一原発はまだ事態は収束せず、先日東電から発表された計画も年単位の時間を要する状況を認めるものでした。震災直後の水素爆発といった事態の急変こそ落ち着いたように見えますが、未だに一進一退を続けており、事故によって放出された放射性物質により、線量が高い地域にお住まいの皆さんは本当に不安な日々を過ごされていることと思います。

さらに、直接に被害を受けなかった地域においても原発に対する不安な気持ちは高まっており、他の原子力発電所の将来リスクについて、みなさんも大変心配されていることと思います。

中でも、老朽化が進んでいて、過去にも地震で緊急停止したことがある中部電力の浜岡原発については、これまでにも増して厳しい視線が注がれていると考えます。そのため、浜岡原発について、実際にどのような状況なのか、中部電力に直接ヒアリングを行いました。
浜岡原発は東海地震が想定される地域にあり、2009年8月11日に発生した駿河湾の地震(M6.5、御前崎市震度6弱)によって当時稼働していた浜岡4号機、5号機が自動停止したこともあります。(原子炉建屋の地下2階面で120ガルを感知すると原子炉を自動的に停止する仕組みになっており、それが機能したものです。)

以下、ヒアリング内容を「浜岡原発の現在の稼働状況」「福島事故を受けた対策強化内容」「こちらからの追加要望」の3点にまとめて報告します。

1. 浜岡原発にある5つの原子炉のうち、福島第一原発と同じ年代の1号機と2号機はすでに廃炉が決定して、運転終了していることを再度確認した。

浜岡原発には5つの原子炉があります。それぞれの形式と運転開始日は以下の通りです。
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1号機
原子炉型式:沸騰水型軽水炉
運転開始 :1976年3月17日
出力 :54万キロワット

2号機
原子炉型式:沸騰水型軽水炉
運転開始 :1978年11月29日
出力 :84万キロワット

3号機
原子炉型式:沸騰水型軽水炉
運転開始 :1987年8月28日
出力 :110万キロワット

4号機
原子炉型式:沸騰水型軽水炉
運転開始 :1993年9月3日
出力 :113.7万キロワット

5号機
原子炉形式:改良型沸騰水型軽水炉
運転開始 :2005年1月18日
出力 :138万キロワット

まずは5つの原発について、建設年代が違うということを確認したいと思います。

老朽化が進んでいて、耐震対策にリスクがあったのは、特に1号機と2号機ですが、こちらは2009年1月30日に運転を終了し、すでに廃炉に向けた作業が行われています。

3号機と4号機は1980年代後半から90年代前半につくられました。これは一時電源喪失により冷却機能が停止し、その後復旧した福島第二原発と同型炉です。5号機は2000年以降に建設された国内では新しい型の原子炉です。

中部電力に直接確認したところ、1号機及び2号機の原子炉からは、すでに燃料棒は抜き取られていますので、福島同様の災害があったときでも、1号機2号機の炉心が原子炉内で露出するリスクはありません。

但し、1号機の使用済み燃料プールには1体の使用済み燃料が、2号機のプールには燃料棒が1,312体(使用済み燃料が1,164体、未使用燃料148体)が残っているそうです。これらの燃料棒は2013年ごろまでに、敷地内の別の使用済み燃料プールにすべて搬出し、このうち148体の未使用燃料は他の原子炉の燃料として使用していくとのことでした。なお、1号機は運転を停止してから10年近く、2号機も7年以上経っているため、使用済み燃料は十分冷却されているそうです。

また、残りの原子力炉ですが、3号機は定期点検中のため運転を停止しています。但し、燃料棒は原子炉内にセットされています。4号機と5号機は現在も運転中です。

2. 福島の事故を受け、浜岡原発は「揺れ」に関してのリスクに加えて、「冷やす」ための電源喪失対策を強化している。

原子炉を安全に冷温停止状態に持って行くには、「止める」だけでは不十分で、「冷やす」機能が必要ですが、福島の事故は「津波」によって電源が喪失し「冷やす」機能を失った結果、炉心溶融→水素爆発という経過をたどり、最終的には「閉じ込める」という機能を一部失ってしまいました。

浜岡原発は、水平方向で「1000ガル」の揺れにも耐えるよう、以下のような耐震強化工事を行ったとのことでした。
何か大きな地震があったことによって後追い的にやったのではなく、少しでも地域住民の不安を解消するために、それまでの基準地震動に対して3割くらい余裕を持たせる(水平方向で約1000ガルの揺れに耐える)ことを目標にして行われました。現在は、国の中央防災会議による想定東海地震の2~3倍の地震動に対して強さを確保しています。

【耐震増強工事】
2005年1月公表
3号機 2008年3月 工事完了
4号機 2007年12月 工事完了
5号機 2007年12月 工事完了

●排気筒の鉄骨による補強
●配管補強(合計5000か所)
●耐震強度を600ガルから1000ガルへ

また、1号機2号機は、耐震強度を1000ガルにするにはコストと工事に時間がかかりすぎるとの判断から、廃炉が決定したそうです。

そして今回の福島第一原発の事故の教訓から、津波その他が原因となる電源喪失リスクに対し、次のような事行っているとのことです。

●非常用発電機はタービン建屋ではなく、防水性に優れた原子炉建屋内に配置している
●仮に非常用電源が作動しなかった場合でも、蒸気タービンにより8時間程度原子炉を冷却できるようになっている。また、電源車を遠方から運ぶと8時間というタイムリミットに間に合わないので、原子炉建屋2階に非常電源を設置した。
●高台にガスタービン式の発電施設を新設し、そこから送電線をつなぎ込んで原子炉に電力供給できるようにする
●浜岡原発と海岸の間には高さ10~15メートルの砂丘(※)があるが、これに加えて発電所の敷地を高さ12メートル以上の防波壁で囲む工事を行う。完成には数年かかる見通し。
※実際には土手に近いものらしいので、実際に現地に行って確かめてきます。

3. しかし、電源が完全に喪失した状況での「冷やし」対策について十分とは言えないと考え、さらなる議論を行いたい。

確かに、今回の事故の教訓から「冷やす」ために必要なのは電源を確保することです。そのために、浜岡原発は電源を三重化したり、津波の被害を受けにくいところに配置したりすることは有効な対策かもしれません。

しかし、これでも私はリスクの想定が甘いと考えました。なぜなら、今回の震災はそういう人間の想定をはるかに超えたところで被害をもたらしたし、今後も何があるかわからないからです。

そこで、私は中部電力に次のように質問しました。

「あらゆる電源確保の努力にも関わらず、残念ながら電源喪失状態となったことを前提として、それでも現場で原子炉を冷やし続けるにはどうしたらいいですか?」

私がイメージしていたのは、電源喪失状態でも、例えばあるバルブを開くと冷たいガスが原子炉の圧力容器の一部を冷やすようになっていて、ボンベさえ交換し続ければ1週間ぐらい冷やし続けられる、あるいは、高いところに貯水池をつくって、そこからサイフォン管で水を引っ張ることで、水を原子炉内に高圧で注入できるなど、電気がなくなっても一定時間は冷やせる仕組みです。

残念ながら、既存の原子炉については電源完全喪失のまま耐えられる工事を行うよりも、電源の三重化、四重化を行う方ことが今すぐできる対策という点では現実的な対応であり、、電源喪失しないこと、電源喪失してもできるだけ早く復旧させること、電源復旧するまでの間に燃料の損傷、水素爆発という事態を避けることについて強化を強く望みます。

しかし電源喪失の際に起こりうる事象はリスクとして残るため、この点に関しては将来的にはさまざまな技術的な手段の拡大も含めてまだまだ議論の余地があると感じました。できれば来月にでも浜岡原発を実際に見て、その上で引き続き議論を続けていきたいと思います。