5月25日、宮城県石巻市まで、エンジン01文化戦略会議の教育委員会の活動の一環として、三枝成彰さん、林真理子さん、藤原和博さんと一緒に出張授業に行ってきました。
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行き先は、雄勝中学校。雄勝町は石巻の中でももっとも被害が甚大だった地区のひとつで、文字通り、「町ごとまったく何もなくなってしまった地区」です。東京から新幹線と車を使って、片道4時間半の距離です。
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雄勝中では卒業式が体育館で行われた後、生徒が帰宅してから震災が起きました。幸い、子どもたちは「地震が起きたら山へ逃げろ」という教訓が受け継がれており、みな、山の方に徒歩で逃げて生徒全員、無事でした。
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佐藤淳一校長は、藤原和博さんの表現を借りると「1,000人に1人の校長先生」、生徒たちの無事を確認するため不眠不休で家族への連絡も後回しにして、三日三晩、避難所を回り続け、手作りの名簿を作成していったのです。それくらい、情熱的な先生です。
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雄勝中は現在、廃校となった石巻北高校飯野川校舎を、他の定時制高校や避難してきた小学校と協同で間借りをして、4階で授業を続けています。生徒たちも、まだその大半が避難所で生活しています。仮設住宅も少しずつ建ちはじめましたが、まだ入居は抽選で、行き届いていない状況です。
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全てが流され、子どもたちの制服が制服会社の支援で届いたのもつい最近、部活動のための伝統の太鼓も流され、先生方が手作りでタイヤの太鼓を作ってしのいでいます。
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朝一番の新幹線に乗って、お昼前に到着した私達は、まず、子どもたちと一緒に炊き出しとして、焼き肉をしました。
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なぜ焼き肉なのか。それは、給食がなんといま、「パンと牛乳とヨーグルト」だけだからです。育ち盛りの子どもたちが、これでもつわけがありません。しかも、朝晩は不自由な避難所生活ですから、昼だけでも、なんとか好きなだけ、肉を食べてもらいたいという考えからです。

それでは、このような炊き出しやボランティアはすべての中学校に受け入れ準備があるのでしょうか。いえ、違います。佐藤校長のように、ボランティアの支援を受けて入れているところは少数派です。多数派は、「公平性への呪縛」「規則への呪縛」から、受け入れを拒否しているところも多いのです。

例えば、藤原和博さんがパティシエと協力して被災地に届けようとした「ロールケーキ700個」。甘いものが避難所生活では欲しいはず、という配慮でパティシエの方が、仕事が終わった後、夜なべをして作成したものです。これを、たまたま、届けようとした避難所の人数が800人だったところ、その避難所の担当の方から「うちでは人数に足りないものは受け入れられない」と拒否された有名なエピソードがあります。

半分に切るとか、希望者の優先順位をつけるとか、いくらでも方法があるはず。それでも、そのことについて考えをある意味「サボる」ことで、見かけ上の秩序を保とうとするのです。結果、避難所や学校によって、そのリーダーがどれほど柔軟によって、避難生活もずいぶんとその質に差ができてしまいました。

もっとも、現地のボランティアの人たちもしたたかで、例えば炊き出しを700人の避難所に500人分というと断られるのがだんだんわかってきたので、「はい、大丈夫です、700人分あります」などと言ってしまって、届けるようにしてきたそうです。いずれにしても、なぜ非常時まで、不要な秩序を保とうとするのでしょうか。

雄勝中学校の話に戻りますと、佐藤校長がしみじみとこう言いました。
「この子たちは、あれだけの災害にあってきたのです。いまはどんなにひいきをしても、まったく足りないと思っています。だからこそ、どんどん、いい目を見させてあげたいのです。」

実際、ボランティアの方は、中学生からこんなことを聞いたそうです。
「目が醒めたときに、だんだんとどちらが現実かわからなくなるんです。なにもかもなくなってしまった、今の生活が夢ではないかと。そして、夢だったら、どんなにいいかと」

焼き肉をお腹いっぱいほおばった中学生たち、すてきな笑顔でいっぱいでしたが、その笑顔の裏にはそんな気持ちがあったそうです。

私が行った授業は「誰でもできる、夢を叶える方法」です。あるたった1つのことをすることで、その夢が叶うということを30分強の時間で説明しました。たまたま、三枝成彰さんがまさしく、その方法を実際に行っていたので、三枝さんのその方法の実物も生徒たちに回覧、生徒たちにもその場で、実際にその方法を試してもらいました。
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藤原和博さんは風船などをつかいながら、「頭を柔らかくして発想をする方法」の授業、三枝成彰さんはガンダムの作曲を使っての音楽授業、林真理子さんは読書の楽しみ方を講義しました。

授業の後、私達は実際に被災にあった雄勝中に向かいました。すべてが、津波で根こそぎ倒され、校舎の外形のみが残っていました。津波は校舎の時計の位置、約20メートル強まで達したそうです。新幹線の速さ並みのコンクリートの塊が20メーターの高さで押し寄せてきた、というイメージです。
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そして、そのような中、1つの希望を校舎の校庭に発見しました。根こそぎ倒された木は震災から2ヶ月たち、新芽が生え始めていたのです。
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まさしく、雄勝中の生徒たちをはじめ、被災地の子どもたちはこの新芽です。子どもたちに、ありとあらゆる可能性を私達大人が伝えて、伸びてもらう、育ってもらうことが、もっとも有効な被災地支援の1つではないかと考えます。だからこそ、「700個のロールケーキ」の事例ではありませんが、大人がせっかくの支援の手を制限することなく、子ども本位の支援体制を構築できたらと考えます。
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なお、気になっている人が多いと思う、「夢を叶えるたった1つの方法」とは何か、それは、「紙に書いて、毎日目立つところで眺めること」です。子どもたちだけではなく、大人にも有効なので、ぜひ、お試しください。

6月は私を含めた著者10人による、印税寄付プログラムChabo!で支援を行っているNPO、JENさんの支援地を訪問する予定です。