福島第一原発問題に端を発する電力不足問題、そして関連する東電賠償問題や増税問題について簡単なメモ書きを行う。
 電力不足問題については短期的には電力料金の引き上げ(料金引き上げに耐えられない家計にほ別途政府の所得移転の必要)、そして長期的には発電と送電の分離、電力自由化、さらにエネルギーの効率化を推し進めるのが処方箋である。
 また原発問題による被災者への東電の賠償問題については、(A)東電の利用者が料金増額で負担すべきことには一定の経済合理性がある(料金増額分はすべて課税すべきである)。政府案は基本的にこの(A)案の不出来な一種である。
 ただし東電の利用者(=国民の一部)が負担するにせよ、その負担はできるだけ最小化されるべきである。(A)案は東電という地域独占体を維持することが前提になっているが、東電を解体すれば国民負担がかなり削減できる。
 (B)東電を解体し、電力事業を継続したうえで、100%減資や債権カットを行うことで国民負担の最小化を目指す。高橋洋一氏の『これからの日本経済の大問題がすっきり解ける本』(アスコム)によれば、仮に賠償額を10兆円にすれば、政府案だと9.9兆円の国民負担が、この(B)案を推し進めれば3.8兆円まで縮減できるという。
 しかし高橋氏によれば、このような国民負担の最小化政策は採用されず、最も国民負担の大きい政府案が推進される。これは事実上の増税であり、財務省などの推進する増税路線と符合する動きであるという。東電を維持すればその利害関係者(もちろん経産省含む)も喜ぶであろう。
 高橋氏の指摘しているように、賠償問題で(B)案を選択するということは、電力不足問題の長期的解決策のひとつである送発電分離、電力自由化と不可分である。東電の解体と(当面は東電管轄地域の)電力自由化は、やがて戦後長く放置されていた絶対領域ともいえる全国的な電力の地域独占のあり方を根本から自由化することにつながるだろう。それは長期的に電力の安定的な供給と料金の引き下げ、つまりは国民負担の最適化につながる。いまの賠償スキームは単なる東電の責任回避と国民負担の過剰な負担増でしかない。

(参考)より詳細な東電問題、増税連合批判はこのトークライブをご覧くださいhttp://www.ustream.tv/recorded/16189049