LinQは博多を拠点にした女性グループアイドルですが、すでにその実力はローカルアイドルの枠をはるかに超えています。楽曲を中心としたその魅力は日本のアイドル集団の中でも上位クラスで、手前味噌で申し訳ないですが(笑)、僕の車中に備えてあるCDの六枚中二枚までが彼女たちのCDです。ところでLinQの存在は、僕も出演したNHKの特集番組で知ったのでした。その番組で、最も興味をもったのがLinQ代表である小野純史さんの言動でした。今回は直接お話しをうかがいに、博多のLinQ事務所を訪ねることにしました。

LinQ:公式サイト

LinQ:?3rdシングル「さくら果実/Sakura物語」(2月29日発売)

田中:YoutubeでたまたまロフトでのLinQの公演動画をみて率直に感動しました。僕はLinQの『ハジメマシテ』が好きで車の友になっています。いろんなローカルアイドルがいますが、LinQほど楽曲が印象に残る人たちはいません。すでに「ローカル」とつけるのが適当とは思えない、全国で勝負できるポテンシャルを持っているという印象です。『ウレぴあ』創刊二号にいまの女性グループアイドルを配置したマトリックスがあるんですが、その四象限の中心にLinQがあって、いわばアイドルの基準点として評価されてますね。

小野:いえいえまだまだです。

田中:ところで今回、九州にくるのでいろいろ動画をみていたら、小野さんの姿をHRの関連動画でみかけました。

小野:もともとHRを立ち上げるときに声をかけていただいて、そこが始まりなんです。HRの中でやっていくうちに、一から始めたいなあと思ってやることにしたのがLinQなんです。

田中:よく思うのですが、プロデューサーやマネージメントする人がキャラが立っているとアイドルが面白くなりますよね。

小野:キャラが立ちすぎているといろいろいわれます(笑)

田中:そこはまあ日本社会特有の風土ですから、「いいことだ」と開き直っていただいて(笑)。ところでHKT48の影響は何かありますか?

小野:はっきりしていませんが、うちとしては相乗効果などいい影響があると思ってます。お客さんも東京でプロモーションをやるととても増えている。福岡にいけばHKT48かLinQをみればいいなと思っていただけるんじゃないか。公演をやると毎回30人ぐらいは東京から見に来ていただいけてます。

田中:それはすごいですね。HKT48は完成されたフォーマットを適用しているんでしょうが、まだ実物を見てないので推測ですが、例えばSKE48などよりも大きな初期投資をしている印象です。

小野:かなりの投資だと噂で聞いてます。スタッフの数も多いみたいですね。

田中:ところで小野さんはいまおいくつですか。

小野:三〇歳です。HRのときが最初なのでまだこの業界は二年程度です。まったく人脈もなかったんです。

田中:博多も昔ながらの街で芸能市場も様々な既得権益が新規参入の障害にもなることもあるでしょうけど、僕も複数のアイドルが存在するのは知っていましたが、実際にどんなアイドルがいるのかがわかったのは、やはりNHKの番組を収録するときに、LinQとQunQunを録画でみたときです。両方にそれぞれ違う意味で魅せられました。ところでLinQはTwitterをよく活用してますね。フォロ活というんですか、LinQの子たちにフォローの連続攻撃をうけました(笑)。ところでネットも面白いのですが、海外への展開で考えてらっしゃることありますか。

小野:いま韓国や中国の旅行会社を接触しています。福岡は観光地といえるものがないんです。ただビートルで韓国から二時間ぐらいでこれる立地のよさがある。もっと県とか市とかも含めて観光客をどう誘致すればいいのか考えてます。これはやはりAKB48さんのおかげではあると思います。海外でも日本のアイドルに注目があります。ツアーに組み込んでいけないか、福岡に来ていただきLinQなりHKT48なりをみていただき観光して買い物をして帰っていただければ。そういう動きになるようにちょっとずつですがやっています。
田中:僕も博多の駅前のホテルに泊まりましたが、確かに韓国の観光客などは多そうです。
小野:僕らも本当は東京よりも中国市場の方が近いし、マーケットとしても大きいのでそちらで勝負したというのが最初の目的でした。

田中:なるほどそれは面白いです。東京よりもアジアを向いているというのは。

小野:本当はそうしたかったんですが、なかなかうまくいかない面も今はあります。日本のアイドルという面でも成熟し切っていない面もあるので、地盤をしっかりつくらないといけないと思ってます。実は東京にも連れていきたくなかったし、CDも出すのは早すぎたと思ってます。もっと力をたくわえたい。ただビジネスとしてスピードをあげないといけない面もありますし、またファンを楽しませるという目的もあります。それに応えるとなかなか制作面もあれだけのレベルの楽曲をつくるのに、いまお二人、HさんとSHiNTAさんで取り組んでいただいてますが、なかなか制作のスピードが追いつかない。しかしファンの皆さんに毎週土日公演するというビジネスの柱をっかげてやっている。最初に来られたお客さんも最初の公演から結構なインパクトがあったみたいで、楽しんでいただいた。ただそれを三か月も続けていくとやはりお客さん的に飽きてくる。飽きさせない努力をしなくてはいけない。ただ制作面にスピードが追いつかない。ここで東京の進出が出てきました。LinQのインパクトを東京に持ち込めば、また別の市場がひらけるな、というだけで東京に持って行ってしまいました。もっと博多で練って練って練り上げて、アジアへ輸入していきたかった。

田中:ただ博多と東京で同時展開していけば、迂回生産のようですが、東京からアジアへいく道もひらけるかもしれませんよ。日本のアイドルはいわば素人を育てていくという方式ですが、いまの小野さんのお話を聞くとかなり初期段階で完成されたものをお客さんに提供していきたいというスタンスでしょうか。

小野:いえ、そこは素人を育てていく成長をみせるというAKBモデルを考えていますしかしAKBと同じことをやっていても次にはいけない。たぶんAKB48もテレビの世界では今年いっぱいかもしれない。公演の方は2、3年は続くと思いますが。AKB48も次の壁を超えないとさらにむこうにいけないように見えてます。

田中:AKB48の未開のフロンティアのひとつは、ファミリー層への一段の食い込みと、それとやはり海外市場でしょうね。LinQも同じで、この前のNHKの番組内でもファミリー層への浸透の必要性は言及されてましたよね。

小野:そうですね。

田中:またAKBなんですが、海外戦略もうまいと思います。インドネシアに目を向けたのはまさに慧眼だと思います。いま日本にいる海外からの留学生でもっとも日本企業から求められているのは、人数の対比からいうとインドネシアとベトナムが双璧です。日本の企業つまり日本人が多くインドネシアにいることも念頭にあるだろうし、日本的なものの浸透がネットや留学生文化の持ち込みで活発化するのも見込んでいるのかもしれません。ただ日本国内に目を転じると、よく僕も取材されるときに聞かれるんですが、デフレ不況にAKB48型は強いのではといわれる。強いのは確かなんだけど、さらに先にいってデフレ不況を打ち勝つという質問には明白にノーと答えてます。どこのアイドルもそうでしょうけど、みんなコストカットの努力を続けてていわばぎりぎりでやっている現状がある。LinQさんもこの不況の中で相当に努力されていると思いますが。

小野:その通りです。これからも地元のスポンサーの方々に協力をさらにいただなかいといけない。そのため汗を毎日流して努力しています。いまはまだ成功しているなどとは程遠く、より一層努力しないといけない重要なところにきてます。

田中:ところでファン層の年齢構成はどんな感じでしょうか。

小野:けっこううちは高いです。NHKでファンの方々とのオフ会を映していただきましたが、HRのときからのファンの方もいらしてそこから立ち上げるというのでLinQの方に来ていただいた方々もかなりいらっしゃいます。

田中:多くのアイドルグループを最初けん引するのは中高年のコアなファンなんですよね。彼らが中核になって、若い人たちを教えたり導いたり、アイドルの楽しみ方のコツを教えてあげる。マスターとパドワンみたいな関係ですね。そしてアイドルを消費する経済的なクラスタを構成していくのが成功のパターンのようです。

小野:そういう人たちのおかげで本当に助かっています。ファン同士で注意していただいたり、いろんなサポートもしていただいて助かってます。ファンの人たちとの交流を通して、僕らもファンもともに学んでいくということが重要で、僕も月に一度はファンの方々と飲み会をしています。

田中:それはきわめて重要ですね。LinQのこれからの展開はどうですか。

小野:2月29日に3rdシングル「さくら果実/Sakura物語」を出します。その前日に東京でSUPER☆GiRLS、スマイレージ、東京女子流さんたちと一緒に、お台場のZepp Tokyoでタワー企画のライヴ・イヴェントに出させていただきます。そして3月1日に代官山UNITでワンマンLIVEをやります。東京に20名をつれていく初めての試みです。3rdシングルは初回のプレスが、『カロリー』の倍になります。

田中:いまのLinQの勢いとレベルの高さを象徴する感じに思えます。ご本人を前にして偉そうなことをいいますが(笑)、小野さんといろいろ話していると、リスクを負って総合的にやっているという印象が強い。これは西森路代さんという評論家の人と話したときに話題に出たのですが、いまの日本のアイドルのマネージメントは分業しすぎてしまい、個々の専門家がいるけれども全体に責任を負うひとがなかなかいない。ところが秋元康でもつんくでも、またももいろクローバーZの川上さんでもそうですが、全体の責任を負ってマネージメントする人がいると俄然そのアイドルも面白い存在になってくる。小野さんもそのような全体の責任とリスクを負いながらLinQに対しているという事がビシビシ伝わりました。個人的にLinQの東京への本格上陸がいまから楽しみです。今度は小野さんだけではなく、実際に彼女たちの話を聞いてみたいな、と思ってます。僕は若い人たちの野心と夢を見たり話を聞くのがとても好きだからです。

2011年12月末 博多、LinQ事務所にて。

LinQ:?3rdシングル「さくら果実/Sakura物語」(amazon)

LinQ:3rdシングル「さくら果実/Sakura物語」(タワーレコード)

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