安倍内閣で内閣官房参与として活躍するイェール大学の浜田宏一教授。その浜田教授の最新刊が、本書『アメリカは日本経済の復活を知っている』(講談社)だ。

一九九八年に新日本銀行法が施工されて以降、日本経済のパフォーマンスは世界のなかでほとんど最悪クラスの位置に低迷している。
浜田氏は本書のなかで、こうした日本経済の低迷の原因は、日銀の誤った金融政策にあると喝破する。日銀の金融政策は緊縮政策であり、その結果として日本経済にデフレや超円高をもたらしたというのである。

二〇〇九年に民主党が政権交代を果たすと、日銀によるデフレ政策にいよいよ拍車がかかった。
リーマン・ショック以降、緊縮政策をとる日本の円はドルに対して三〇パーセントも高くなった。そして、その一方で、韓国のウォンはドルに対して三〇パーセントも安くなった。その結果として、トヨタ自動車やシャープといった日本の一流企業は、ヒュンダイやサムスン電子といった韓国企業との競争において六〇パーセントものハンディを背負うことになってしまったのである。
六〇パーセントものハンディがあれば、いかに優秀な日本企業といえども韓国企業に対し苦戦は必至である。ここ数年の韓国企業の躍進の理由はここにこそあった。

かかる自国の異常な通貨高を見過ごすこと自体、先進国の中央銀行としてはありえないことである。ところが、金融緩和により円高を阻止することが可能であったにも関わらず、日銀はわれ関せずの態度をつらぬいた。

だが、そのような異常な金融政策がおこなわれる事態も安倍政権の成立と共に終わりつつある。本書の著者である浜田参与のアドバイスもあり、経済学の常識に則った、ごくオーソドックスな金融政策が示されるなか、極端な円高が是正されつつあるのだ。異様なハンディがなくなれば、トヨタ自動車やシャープといった日本の一流企業が復活することは間違いない。
本書は、安倍政権がこれらか行おうとしている経済政策を理解するうえでも、全国民必読の一冊といえるであろう。