テマサトラベルという民間の旅行会社が「田母神俊雄氏(元自衛隊航空幕僚長)と行くイスラエル国防視察団」というツアーを企画しています。このツアーは同氏を「団長」として9月にイスラエルを訪問する企画です。

 このツアーの趣旨は「日本において、いよいよ集団的自衛権行使について閣議決定がなされました。中東では不安定な国々が争っていますが、その中でも三千年以上の流浪の民族が近年建国したイスラエルの国防に学ぶところが多々あると思います」というものです。

 ちなみに、私もこの視察団に参加します。ツアー会社によれば8月8日時点ですでに20名以上の応募があり、最少催行人数を無事越えたためこの視察は実現するそうです。

 この「視察」ですが、航空幕僚長として日本の国防の最先端で活躍されてきた田母神氏が、実戦経験豊富なイスラエル国防軍を訪問するという点で非常に興味深く、国民の安全を守るという「同じ立場」で意見交換することに大変意義があります。また、それ以外にも主に次の3つのメリットがあります。

 1点目は、現在のイスラエルはガザの戦闘におけるハマスの「人間の盾」戦法に関する情報収集です。いかにパレスチナが弱い立場であるというプロパガンダしても、ハマスが民間人の避難を妨害し、学校や病院にロケット弾を隠すなどの行為は、国際社会においては厳しい非難を受けています。この時期に「イスラエルの国防」を視察に行くというのは、ハマスによる今回の恐ろしい手口を調査し、日本国内に知らしめる上でとても重要です。

 発表されている旅程表を見ますと、国防省を表敬訪問して空軍司令官と会見、元駐日大使、前駐日大使、元モサド長官などとの会見・会食がセットされているなど、民間外交の域を超えた素晴らしい内容となっています。東シナ海では偽装漁民による尖閣諸島侵略が懸念される時期であるだけに、イスラエルの対ゲリラ戦術の調査は極めて意義深いものになります。視察によって自分たちが得る利益は極めて大きいものとなるでしょう。

 2点目は、イスラエルの国防に学ぶという姿勢そのものが、とても実用的であり時宜にかなっているということです。イスラエルというのは、建国の当初において、15万人のアラブ連合軍に包囲され、侵略を受けた国です。たった3万人の初期イスラエル国防軍が、敵の完全包囲を突破し、イスラエルの独立を維持しました。しかし、反撃に転じた後、アラブ連合軍に参加した各国の首都を攻め落とすことなく、和平協定に応じています。その後は、周囲と敵対したり和解したりを繰り返しながら、現実的な安全保障政策を続けているわけです。

 そして、日本の場合も、周辺国との間には経済的・社会的な点で深刻な対立事項があります。島嶼の帰属をめぐる国境問題のみならず、公害や核物質をまき散らす迷惑な隣国や、世界各国で日本人の名誉を傷つけるキャンペーンを展開し続ける国があります。これらの国々と和解することは簡単ではありません。しかし、国家は引っ越すことができませんから、こういった迷惑な隣人と敵対したり和解したりを繰り返しながら付き合っていくしかないわけです。

つまり、日本の安全というのは、迷惑な隣国との緊張関係を維持しつつ、これらを除く他の東アジア全域と平和友好を推進していくことによって確保されるのです。これは、イスラエルの状況と構造的に全く同じです。こうした「視察活動」を通じて、イスラエルのケースを学ぶことで、日本の安全保障政策に対する議論が深まることでしょう。これまでのような土下座外交では国土や国民を守れなかったという反省を踏まえ、イスラエルの国防に学ぶことは大いに日本の国益に沿う話だと思います。

 3点目は、同じユダヤ人であっても様々な意見対立があることについての理解です。世界中のユダヤ人には、サイモン・ウィーゼンタール・センターのような親中反日団体に所属する人もいれば、現在イスラエルに住んでいるような割と親日的なユダヤ人まで様々な考え方を持った人がいます。また、イスラエル国内にもパレスチナ問題に対して強硬な意見を持つ右派から、パレスチナに融和的な左派までさまざまな政治思想を持つ人がいます。つまり、世界中のユダヤ人には基本的に言論の自由があり、今回のガザにおける戦闘についても賛否両論があるということです。

 今回の視察団について、「穏健派ユダヤ人を怒らせる」などと批判している人がいるそうですが、おかしな話です。もともと意見がバラバラのユダヤ人ですから、今回の視察を支持する人もいれば、そうでない人もいて当然です。また、この視察はイスラエル在住のユダヤ人は好意的に捉えるでしょうし、逆に元々親中反日団体に所属しているような海外ユダヤ人は批判するでしょう。

 では、私たちが仲良くすべきユダヤ人はどんなユダヤ人でしょうか?自ずと答えは出ていると思います。今回のツアーはガザにおける紛争が発生する以前に企画されたものであって、何もこの時期を狙ってわざと企画されたものではありません。しかし、すでに民間人となった田母神氏の行動に過敏に反応して「イスラエルの外交・諜報活動の一端を担う」などと批判する向きもあります。例えば、この人。冷泉彰彦氏はアメリカのニュージャージー州立大学の先生で、わざわざこんなこと書いております。

田母神俊雄氏のイスラエル訪問計画、3つの懸念
冷泉彰彦(ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト)
http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2014/08/post-670.php

このような批判をしている冷泉氏は、よほど日本とイスラエルの友好関係が深まることを妨害したいのでしょう。(ちなみに、冷泉氏の他のコラムを読んでみてください。珠玉の「親中反日ポエム」となっております。)
 私たちの敵は劣化しています。痛いときには「痛い!」と大声を上げて言ってくれるので本当に助かります。今後も冷泉氏の「痛い!」言動には注目していきたいと思います。