日本政府の債務問題について、解決しようと真剣に考えている人は立派です。責任感があります。
しかし、「借りた金は返すのが当たり前」といった倫理的で大雑把な議論はダメです。
政府債務は個人の債務とは全く性質を異にします。

知らない人も多いと思うので、政府債務を語る際の注意点を3つにまとめました。
結論的に言うと、今の日本の政府債務の問題はかなり誇張されているんです。
この点に、注意しないと、債務問題を解決するどころか、かえって状況を悪化させる可能性があります。
増税原理主義や縮小均衡当たり前という袋小路に陥る前に、まずは「事実」を押さえてください。
心からお願いいたします。

<3つのポイント>

1.政府は永久に死なない

2.1億円の債務は資産総額200万円の人にとっては致命的だが、資産総額10億円の人にとっては楽勝である

3.子会社が親会社の手形を買い取ったらグループ全体の債務は減る

<解説>
1について
政府の債務と個人の債務の最大の違いは借り手が不死身かどうかです。政府は不死身なので、金利とは別に毎年1円ずつ元本を返せれば1000兆年後には政府債務は完済できます。国債の金利などの支払いを除いた国の収支をプライマリーバランスといいます。つまり、プライマリーバランスが黒字転換した状態とは、金利を払ったうえで少しずつ元本を返済していることを意味します。このように、政府債務はその金額の多寡より、債務の維持可能性の方が重要なのです。

2について
バランスシートで考えてください。負債の反対側には資産があります。日本政府の負債は1000兆円と言われていますが、資産は863兆円もあります。これは世界最大の資産規模です。(証拠:財務省 平成25年度「連結財務書類」 )
企業の債務などについて考える場合と同じように、政府債務について語る場合も政府の持つ資産を差し引いた純債務でその規模を考える必要があります。
尚、この連結財務諸表には国が持つ徴税権や通貨発行権の現在価値は含まれていません。

3について
ジョリーパスタがゼンショーHDの振り出した手形を買い集めた場合、ゼンショーHD全体の手形は減ります。
なぜなら、ジョリーパスタはゼンショーHDという企業グループの一員であり、手形の振出人と受取人が実質的に同一の企業になるからです。
では、日銀が政府の振り出した国債を買い集めた場合はどうなるでしょう?
日銀は政府の子会社であり、国債の発行者と保有者が実質的に同じ人になってしまいます。
実際に、日銀が保有する国債に支払われた金利は、国庫納付金として日銀から政府に返納されます。
つまり、日銀保有分の国債については政府債務の総額から除外するのが適切です。
9月20日現在、日銀は311兆円の国債を保有しています。(証拠:日銀営業毎旬報告

尚、2010年に日本の債務問題について詳しく書いた本を出版しました。
より詳しく知りたい方はぜひこちらをお読みください。

『日本は破産しない!(宝島社)